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映画みたいな小説


 こんばんは。松原由布子です。
 またしても久しぶりの更新になってしまいましたが、私がぼんやりしている間にいたるところでクリスマスイルミネーションが始まっていますね。
 丸の内界隈では先週、ツリーの点灯式がいくつかあってとても華やかでした☆

 さらにタイミングがずれ気味ですが、読書の秋到来ですね。
 読書は通年していることなので秋だから読むぞ〜!ってことにはなりませんが、書店さんはこの機会を逃すまいと面白い本をピックアップしたり、フェアを開催したりしていますので、足を運ぶのがさらに楽しみになっています。

 実は恥ずかしながら風邪をひいてしまいしばらく安静にしていたんですが、寝てるだけの時間がどうしてももったいなくて、大好きなんだけど読むのを我慢していた小説をこの機に(?)読んでしまいました。
 この物語はほんとにオススメです。

 上橋菜穂子著『獣の奏者』
 Ⅰ闘蛇編Ⅱ王獣編Ⅲ探求編Ⅳ完結編外伝 刹那

 講談社文庫から出ているⅠとⅡは既に読んでいたんですが、Ⅲ以降はまだハードカバーの分厚い本で、移動中に読むのが難しいサイズだから文庫化されるまですっごくすっごく読みたいけど我慢していました。
 ところが、いつもお世話になっているネイリストさんに薦めたら間違って外伝を買ってしまったとのこと。
 「最初から読みたいから、外伝は松原さんにお貸ししますね♪」
 なんて笑顔で差し出されたものの、この外伝を読むためにはⅢとⅣを読まねばならないのよ・・・!
 ひどい!ひどいわ!こんなの生殺しだわっ!!
 と、せっかくのご好意なのに、ありがたくお借りしたのに、外伝と目が合う(思い込み)たびに苦しくなってしまう毎日。
 やりたいことが基本的に我慢できないので、ついに書店で禁断の立ち読みをしてしまうことに。
 いきなり引き込まれる手記から始まり、一瞬でノックアウト。
 もちろんそのままお買い上げです。
 そして病人になったことを理由に腕がしびれるくらい寝ながら読書三昧・・・と思ってる間に読了。
 ほんと、どの作品もそうなんですが残りページが少なくなると切なくなっちゃうくらい、もっとこの世界のことを知りたいと思わせてくれるんですよね。

 上橋菜穂子さんの描く物語は『守り人シリーズ』や『狐笛のかなた』も大好きなんですが、前者はすべて読むには結構な道のりが必要で(でも超オススメ☆)、後者は好き嫌いが分かれそう、というかちょっと地味。
 初めて彼女の作品に触れるなら、『獣の奏者』ⅠとⅡ(当初はこの全二巻で完結していました)がベストではないかなと思います。
 それで上橋さんの世界にはまったら自然と次の本を手に取りたくなるはず。

 上橋さんは文化人類学を大学で教える先生もされていて、アボリジニを研究されています。
 フィールドワークを重ねながら丹念に研究を続けられているんだろうなぁ。
 ジャンルとしてはファンタジーに括られてしまいますが、全くの架空の世界をここまでリアルに表現できて、物語としても抜群に面白い小説を私は知りません。
 
 「全体のための細部」という考え方を絵を描いている時に教わったことがあります。
 人間の目はとても精巧なので、見たものにピントを合わせてしまいます。
 でも、すべてのピントが合っている絵は不自然なんですよね。
 上橋さんも大河の流れを描きながら、必要十分なだけの細部を表現されています。
 物語として破綻なく、完璧なバランスで組み上げる。でも、熱量は失わずに。

 上橋さんは見て書いているのかな?と思うくらい視覚的、感覚的にリアルです。
 いつも不思議に思うんですが、振り返って物語を思い出すとき、映像が浮かんでくるんです。
 まるで映画のシーンを思い出すみたいな感じ。
 それはどんな小説もそうなんですけど、彼女の作品は見たことも行ったこともない架空の世界なのに手に触れられそうな現実感を持っています。

 その驚きと圧倒的な面白さをたくさんの方に体験してもらいたい☆と、最近ことあるごとに薦めているので、ブログ読者のみなさまにもお裾分けです♪


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 楽しみにしていてくださいね☆


 
 


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