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茶の湯ディテール

風炉03s.JPG

 

陰陽五行論の基本となる図に

後天八卦図(こうてんはっかず)というものがあります。

陰と陽の組み合わせによって、乾兌離震巽坎艮坤の8つに分かれる八卦に

それぞれ天沢火雷風水山地象の意を与え、

それに、南、北、東、西、南西、北西、南東、北東の8方位を振分けます。

さらにそれぞれに色や味、地位、人物像などの意味をつけます。

後天八卦図2.jpg

 

 

茶の湯では、茶室は4畳半が基本とされています。

その4畳半の間取り図に、この八卦図を重ねてみますと、

茶法を行うのにもっとも適した空間であり、

さらに陰陽五行論が高い密度で応用されていることがよくわかります。

 

茶室五行図.jpg

亭主は坤(南西)から入り、

点前畳(てまえたたみ)に座って、乾(北西)で茶を点てます。

1番客(正客)は、坎(水)の位置に南を向いて座り、

亭主のもてなしを受けます。
 
 
これは【易経】の中の十翼にある説卦伝の【離卦】の説明文にある、
 
 “聖人南面して天下を聴き、明に向かいて(世を)治む。”
 
という記述が元になっていると思われます。
 
 
 
また5月から11月までの点前では、風炉(ふろ=火鉢)という道具を使います。
 
ここでは、
 
風炉を納める棚を木、
 
炭を火、
 
風炉を土、
 
釜を金、
 
釜の中の湯を水とします。
 
 
この火鉢の中の灰に水の卦を書くのは、
 
炭の火気を抑えるという意味を持っています。
 
風炉灰に散らされた白い蒔灰も、
 
雪(水気)を表しており、
 
これもまた火を抑える意味がこめられています。
 
 
さらに風炉の使用後、
 
灰さじで炉灰に差込跡をつけることを
 
 “月形を切る” といいますが、これも月=太陰、すなわち陰水の形を
 
使用後の灰に刻むことで、火気を抑える意味があるのです。
 
 
 
八卦盆02s.JPG
 
 
 
行之行台子(ぎょうのぎょうだいす)という奥伝の点前で使用される八卦盆(はっけぼん)。
 
後天八卦図がそのまま、黒漆 と螺鈿(貝を使った装飾法)で見事に表現されています。
 
客は北に座り、南を向くことで、君子の礼を受け、
 
亭主は南にすわり北を向き客に対することが理想とされているため
 
離の卦を手前にして持つことが習わしとなっています。
 
 
 
 
今回ご紹介したのはほんの一部ですが、
 
茶の湯の随所に陰陽五行論が応用されているのがお分かりになっていただけたと思います。
 
 
陰陽五行論をその術の根本に据えている僕達、東洋占術家にとって、
 
こうして共通する理論を持つ“茶の湯(茶道)”は非常に興味深い分野であり、
 
哲学や理論を芸術にまで高めた先人たちの美意識を体感できる文化なのです。 

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