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来訪者たち

外来の文化。

今や僕たち日本人は当たり前のように海外に行き、貿易が行われ、

海外の文化を日常的に取り入れたライフスタイルで生活しています。


それらがあまりにも普通すぎて、

日本の文化と海外の文化の境界線などはほぼないといってもいい時代になりました。


日本人は積極的に外来の文化を取り入れる傾向にあります。

この異文化を迎え入れる風習ははるか古代からすでに存在しました。


日本最古の歴史書とされる「古事記」にも異文化との交流を象徴する記述がみられます。

古代日本において、海のはるか向こうには常世の国があると信じられていました。

常世の国とは未知の理想郷で、神や霊が住むとされている異界のことです。

この常世の国から来る人は客人(まれびと)と呼ばれていました。

当時の日本人にとって常世の国は神々や祖霊の住む国あり、

そこからくる客人は神と同義とされていました。

その信仰は現在も七福神信仰や東北のナマハゲ、沖縄に伝わるニライカナイの伝説として、

その痕跡を残しています。


はるか海の向こうの異世界からやってきた客人は、

来邦と同時に常世国が保有する様々なモノや文化を持ち込みました。

客人によって持ち込まれたモノや文化や思想は、

土着の思想や文化、気候に合うようにアレンジされ、カスタマイズされていきました。

そして長い歴史のなかでこれらは混ざり合い一体となって

もはやオリジナルともいえる日本文化や思想を形成していったのです。


古代日本人たちは常に新しい価値観を運んで来てくれる客人の到来を心待ちにしていたといいます。

まるで子供がサンタクロースを待つかのように。


日本人にとって外来の文化は神に近い未知なる存在がもたらしたものであり、

取り入れるべき尊いものだったに違いありません。

こうした未知なるものの来訪にたいする畏敬の念が

現在の日本の複合文化の源泉となっているのではないでしょうか。

 

某 件太郎

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